BtoB企業のSNS運用はどう始める?|媒体の選び方・内製と代行の分け方・測り方

BtoB企業のSNS運用はどう始める?|媒体の選び方・内製と代行の分け方・測り方

BtoB企業のSNS運用は、媒体を選ぶ前に「SNSを見た人に、最後に何をしてもらうか(出口)」を決め、そこから逆算して媒体・投稿・体制・計測を組みます。成果はフォロワー数ではなく、SNSから自社サイトに来た人数と、問い合わせにつながった件数で判断します。この記事では、その順番と、月に1回見る5つの数字を表にまとめます。

BtoB企業のSNS運用とは、取引先になりうる企業の担当者や決裁者に向けて、自社の専門性と対応できる範囲をSNSで伝え続け、自社サイトや問い合わせへ送り出す活動です。BtoCのように「投稿を見てその場で買う」ことは少ないため、投稿を見た人の行き先を先に用意しておくことが、続けられるか、成果が見えるかを分けます。

目次

BtoB企業はどのSNSを選べばいい?

取引先の担当者がふだん使っている媒体の中から、自社が見せたいもの(文章か、写真・動画か)に合うものを1つ選んで始めます。

参考になるのが、総務省の調査による媒体ごとの利用率です。これは個人としての利用率で、仕事で使っている率ではありません。「相手がそもそも使っているか」を見る目安として使ってください。

媒体 利用率(全年代) BtoBでの主な使いどころ
LINE 92.9% 名刺を交換した相手や既存の取引先への連絡・お知らせ
YouTube 81.5% 工程・機械の動き・製品の使い方など、動きで伝わるもの
Instagram 54.8% 製品・施工・現場の写真で技術を見せる
X 44.7% 業界の話題への短いコメント、展示会・セミナーの告知
TikTok 36.7% 採用向けの発信で検討
Facebook 27.0% 取引先の担当者が使っていると確かめられた場合
LinkedIn 調査の項目に無い 海外の取引先に向けた会社紹介

出典: 総務省 情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2026年6月26日公表。調査期間は2025年12月1日〜7日、13〜79歳の1,800人)。報道資料で2026年11月6日に確認。

媒体は、次の3つの質問で絞り込みます。

  1. 取引先の担当者は、ふだん何を使っているか。これは調査よりも、商談の雑談で聞くほうが確かです
  2. 見せたいのは文章か、写真・動画か。技術の考え方なら文章、加工の精度や施工の仕上がりなら写真・動画が向きます
  3. 週1回の投稿を続けられる担当者がいるか。いなければ媒体は1つに絞ります

LinkedIn については、公式ヘルプに、ページは無料で作れること、作るには個人のLinkedInアカウントが必要なこと、作成はデスクトップ版かiOSアプリからで、Androidでは作れないことが書かれています(LinkedIn Help・2026年11月6日確認)。

投稿は何を書けばいいか?

「よく受ける質問への答え」「仕事の工程」「対応できる範囲」の3つの型を順番に回し、どの投稿も行き先のページを1つ決めて書きます。

  • よく受ける質問への答え:見積もりや電話で何度も聞かれることを、1投稿に1問ずつ答えます。営業担当にメモを残してもらえば、ネタは尽きません
  • 仕事の工程:段取り、検査、梱包など、外からは見えない手間を見せます。取引先が「ここなら任せられる」と判断する材料になります
  • 対応できる範囲:素材・ロット・納期・エリアなど、「頼めるかどうか」を判断できる情報です。問い合わせの前に読者が知りたいのはここです

どの型でも、最後に「詳しくはこのページ」と1か所だけ案内します。案内先がトップページだと、読者はそこから探し直すことになります。

内製と運用代行はどう分ける?

社内にしかない情報(現場の写真、技術の中身、お客様からの質問)は社内で集め、方針の叩き台・計測・改善の仕組みは外部に頼む、というのが分け方の基本です。

作業 社内でやる部分 外部に頼める部分
方針(誰に・何を・出口) 経営者が最終的に決める 叩き台づくり、同業他社の発信の確認
ネタ集め 現場の写真、受けた質問(社内でしか集まらない) 集め方のルールと記入用シートづくり
文章・画像の仕上げ 時間に余裕があれば 下書きからの仕上げ、予約投稿
コメント・メッセージへの返信 技術や見積もりの判断が入るもの 定型の一次返信の文面づくり
計測と月次の振り返り 数字を見る場に出て判断する UTMの設定、GA4での集計、改善案

「続かない」の原因は、たいていネタ集めと仕上げを同じ担当者が抱えていることです。ネタ集めは社内に残し、仕上げと計測を外に出すと、社内の負担はネタ出しだけになります。当社のBtoB企業向けSNS運用支援も、この分け方を前提に、どこまでを当社が持つかを決めてから始めています。

SNSから問い合わせにつなぐ導線はどう作る?

プロフィールのリンク先をトップページから「SNSで話している内容の受け皿ページ」に変え、リンクにUTMを付けて、SNSから来た人を見分けられるようにします。

  1. 受け皿ページを1つ決める:サービスページか、対応範囲と事例写真、問い合わせボタンがあるページにします
  2. リンクにUTMを付ける:UTMとは、URLの末尾に付けて「どこから来たか」をGoogleアナリティクス4(GA4)に伝える目印です。Googleのヘルプでは、utm_source・utm_medium・utm_campaign の3つが必須とされています(アナリティクス ヘルプ・2026年11月6日確認)。例:?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=profile
  3. 問い合わせフォームに「何で当社を知りましたか」の欄を足す:SNSで見かけてから社名で検索して来た人は、UTMでは数えられません。それを拾うのがこの欄です

効果はどう測る?月1回見る5つの数字

フォロワー数ではなく、「投稿を出せたか」から「問い合わせになったか」までを5段階に分け、どこで止まっているかを見ます。

見る数字 どこで見るか 止まっていたら
1. 予定どおり投稿できた本数 自社の投稿予定表 ネタ集めか体制を見直す
2. プロフィールへのアクセス数・リンクのクリック数 各媒体の分析画面 投稿の型と、プロフィール文を見直す
3. SNSから来たセッション数 GA4の[集客]>[トラフィック獲得] UTMが付いているかを確かめる
4. 受け皿ページから問い合わせフォームへ進んだ数 GA4 受け皿ページの中身と、ボタンの位置を見直す
5. 問い合わせ件数と、そのうちSNS経由と分かった件数 フォームの「何で知ったか」の欄 商談で聞いた内容を投稿に戻す

注意したいのは、媒体の分析画面のデータはずっと残るわけではないことです。Instagram の分析データはビジネス/クリエイターのアカウントが対象です。Meta の開発者向け資料では、アカウント単位のデータの保存は最大90日とされ、フォロワーが100人未満のアカウントでは取れない指標もあると書かれています(Meta for Developers・2026年11月6日確認)。月に1回、決まった日に表へ書き写すのが確実です。

当社も、自社で運営するEC2店舗(グッズ本店・うちわ本店)のSNSの数字を毎朝自動で取り込み、月単位でまとめています。2店舗のXのフォロワーは、2026年8月31日時点で合わせて約1.2万です。これは個人のお客様に向けたECの店舗アカウントの数字で、BtoBの成果ではありません。それでも「数字は同じ日に、同じ定義で記録しないと比べられない」という点は、BtoBでもそのまま当てはまります。

明日からやること

  • 3つの質問に答えて、始める媒体を1つに絞る
  • プロフィールのリンク先を受け皿ページに変え、UTMを付ける
  • 問い合わせフォームに「何で当社を知りましたか」の欄を足す
  • 5つの数字を書く記録表をつくり、記録する日を月末に決める

どの数字で止まっているかが分かれば、次に直すところ(投稿か、プロフィールか、受け皿ページか)が決まります。当社は自社EC9サイトを20年運営しています。Google広告の自社運用やGA4の実装の経験もあり、SNSから受け皿ページ、問い合わせまでを1社で見られます。中小企業診断士も在籍しています。どこから手を付けるか迷ったら、BtoB企業向けSNS運用支援のページからご相談ください。

よくある質問

Q. BtoB企業がSNSを始めれば、問い合わせは増えますか?

業種、取引先、媒体によって結果は変わるので、増えるとはお約束できません。増えたかどうかを判断できるように、UTMとフォームの「何で知ったか」の欄を用意してから始めることをおすすめします。

Q. 最初から複数のSNSを始めたほうがいいですか?

担当者が少ないうちは、1媒体に絞るほうが続きます。予定どおりの本数を出せる月が続いてから、2つ目を検討してください。

Q. SNSの成果はフォロワー数で見ればいいですか?

フォロワー数は記録の1つにとどめ、SNSから来たセッション数と、問い合わせのうちSNS経由と分かった件数で判断します。フォロワー数だけでは、取引につながったかが分からないためです。

Q. 運用代行にすべて任せることはできますか?

文章の仕上げ、予約投稿、計測は任せられます。ただ、現場の写真や受けた質問といったネタは社内にしかないため、ネタ集めは社内に残すほうが中身のある発信になります。

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十文字 眞輝
十文字 眞輝監修・執筆
代表取締役 CEO / FUN-CREATE株式会社
🎓 中小企業診断士 | EC・WEB運営20年超
2006年創業。自社EC 9サイト(本店4+モール5)を20年運営してきた実運用をベースに、中小企業向けのWEB集客・DX戦略を設計。愛知県西尾市・三河地区の中小企業を中心に支援。
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