補助金でホームページを作ると決める前に|見積書の各行を経費区分に当てはめる手順

「補助金でホームページを作れますか」というご相談を、当社でもよくいただきます。このとき最初に開くべきなのは制度の一覧ではなく、制作会社から受け取った見積書そのものです。補助金に通るかどうかは、制度名ではなく見積書の1行1行が公募要領のどの経費区分に入るかで決まるからです。
この記事では、小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>第20回の公募要領(第8版)を2026年10月29日に一次情報で確認したうえで、手元の見積書を自分で仕分ける手順をまとめます。
結論:補助金の可否は「制度選び」ではなく「見積書の行の仕分け」で決まる
ホームページ制作の見積書は、たいてい「ディレクション費」「デザイン費」「写真撮影」「サーバー・ドメイン費」「公開後の保守費」といった行の集まりです。公募要領はこの行を経費区分ごとに別のルールで扱います。1枚の見積書の中に、対象になる行と対象外の行が混ざるのが普通です。
だから「この補助金ならホームページが作れる/作れない」という二択の問いは、そもそも立て方が違います。正しい問いは「この見積書のうち、いくらが対象経費として残るか」です。
前提:第20回で確認できた4点(2026年10月29日時点)
- 対象経費の区分に「ウェブサイト関連費」がある。販路開拓等を行うためのウェブサイトやECサイト、システム等の開発・構築・更新・改修・運用に要する経費が該当する
- ウェブサイト関連費のみでの申請はできない。必ず他の経費と一緒に申請する、と公募要領に明記されている
- この区分の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)
- 申請受付は2026年11月5日(木)開始、締切は12月15日(火)17:00。商工会議所・商工会が発行する事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は12月4日(金)と、本締切より前にある
公募要領は改訂されます。第20回は10月29日時点で第8版でした。半年前にダウンロードしたPDFを根拠に進めると、改訂部分で食い違います。読む前に版数を確認してください。
手順1:見積書の行に、経費区分の名前を書き込む
見積書を印刷し、各行の余白に経費区分名を書き込みます。公募要領を読むと、区分の振り分けには次のような決まりがあります。
- ウェブサイト・システム開発に関連するソフトウェアは、機械装置等費ではなくウェブサイト関連費で計上する
- 自社ホームページやECサイトで使う動画や写真の制作費も、広報費ではなくウェブサイト関連費で計上する
- チラシ・カタログ、インターネット広告、SNS広告などは広報費。ただし広報費も単独申請はできず、交付申請額の上限は30万円(税込)
撮影費を広報費だと思って別枠に積むと、ここでずれます。サイトに載せる写真なら同じ区分に入り、同じ上限の中で競合します。区分を分ければ枠が増える、わけではありません。
対象外になりやすい行
公募要領には、ウェブサイト関連費で対象にならない経費の例が挙がっています。見積書に次の行があれば、先に赤を付けてください。
- 補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ(=期間内に公開まで到達しないと、作りかけは残らない)
- 既に導入しているソフトウェアの更新料
- 家庭および一般事務用ソフトウェア
- 販売を目的としたシステムやソフトウェアの開発
一方、対象となる経費例として挙げられているのは、商品販売のためのウェブサイトの作成・更新、顧客管理システムの構築、ウェブサイトに掲載する宣材写真や画像・動画の制作費用、ウェブサイトやシステムに関連するコンサルティング・アドバイス費用、そして効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策などです。「効果や作業内容が明確な」という条件が付いている点は見落とさないでください。作業内容が「SEO対策一式」としか書かれていない見積書は、この条件を自分で満たせません。
手順2:日付の線を引く
対象経費は、①使用目的が事業の遂行に必要と明確に特定できること、②交付決定日以降に発生し、補助事業期間中に支払が完了していること、③証憑資料で支払金額が確認できること、の3条件をすべて満たすものとされています。
相談・相見積と、発注・支払いは別です。いつ発注し、いつ支払うかを交付決定の日付に合わせて組む必要があります。さらに前述のとおり、期間内に運用に至らなかったページは対象外です。公開日を期間の末日ギリギリに置く計画は、原稿や写真が1週間遅れただけで崩れます。
手順3:50万円を超えるなら、公開後5年の扱いまで決めておく
ウェブサイトおよびシステムを50万円(税抜)以上の費用で作成・更新する場合、「処分制限財産」に該当し、補助事業が終了して補助金の支払を受けた後も、一定期間(通常は取得日から5年間)は目的外使用・譲渡・廃棄などが制限されることがある、と公募要領に書かれています。処分する場合は事務局への事前承認が必要です。
なお、補助事業の目的を遂行するために必要なホームページの改良や機能強化は、事前承認が必要な「処分」には該当しないと明記されています。つまり「補助金で作ったから5年間さわれない」わけではありません。制限されるのは廃棄や目的外使用です。作り直しの周期をどう考えるかは、申請前に決めておく論点になります。
手順4:月額のサービスは「按分」で見る
契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権を購入する場合、按分等の方式で算出した補助事業期間分のみが補助対象になります。年額契約のツールを見積書に1行で入れていると、全額が通る前提で資金計画を組みがちです。月数で割った額を先に計算しておいてください。
申請前に、自社で数えておく3つ
ここまでは制度側の話です。実務で金額を左右するのは、むしろ自社側の情報の整理です。当社は自社ECを9サイト(本店4+モール5)、20年にわたり運営してきました。制作を発注する側としても受ける側としても見てきて、見積書のブレの大半は次の3つが決まっていないことから生まれます。
- 掲載する商品・サービスの点数。当社の例では、FY25に販売実績のあった品目はグッズ本店で350品目超、うちわ本店で190品目超でした。点数は商品の入れ替えで動くため、当社では定期的に数え直して掲載を書き換える運用にしています。発注前に自社で数えた点数があれば、見積もりの前提が固定できます
- 新しく撮影が必要なカット数。前述のとおり、サイト用の写真はウェブサイト関連費に入ります。点数が決まればカット数も概算できます
- 公開後に何を見て成果を判断するか。当社はGA4・GTMの実装と、重複して設置されたプロパティの監査・解消を実務で行っています。計測が二重のままだと公開前後の比較数字がそのまま狂います。報告に使う数字の土台は、作る前に直すほうが早いです
よくある質問
ホームページ制作費だけで申請できますか?
第20回の公募要領では、ウェブサイト関連費のみによる申請はできないと明記されています。他の経費と組み合わせる必要があります。
もう発注してしまった制作費は対象になりますか?
対象経費の条件に「交付決定日以降に発生し補助事業期間中に支払が完了した経費」とあります。ご自身の案件が当てはまるかは、申請前に公募要領と事務局の公開情報でご確認ください。
AI検索対策(GEO・LLMO)の費用はどう扱われますか?
対象経費例には「効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策」という記載がありますが、AI検索対策という名称での記載は確認できませんでした。名称ではなく、見積書に書かれた作業内容と効果の説明で見られると考えておくのが安全です。可否の判断は事務局によります。
相談先について
当社には中小企業診断士が在籍し(自社資料「アシロボ活用実例50選」で6名体制と公開しています)、経営計画・事業計画の作成支援を行っています。補助金については、公募要領の読み方や計画に載せる数字の整理についての助言という範囲でお手伝いしています。可否の判断そのものは事務局・審査側にあります。
作りたいものを点数と範囲で固め、経費区分に翻訳し、公開後に測る土台まで引く。この順序で進めたい方は事業計画書の作成支援からご相談ください。見積書を1枚お持ちいただければ、仕分けの考え方からご一緒できます。
出典(2026年10月29日確認)
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回 公募要領(第8版)/商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局
https://r6.jizokukahojokin.info/doc/r6_koubover8_ip20.pdf - 商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>(スケジュール)
https://r6.jizokukahojokin.info/ - 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)」の公募要領を公開しました
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260527002.html
日程・要件は変更される場合があります。申請にあたっては、必ず最新版の公募要領と事務局の公開情報をご確認ください。
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