AI検索の最新動向 2026年9月|ChatGPT広告の日本上陸とGoogle公式ガイド

この3か月で、AI検索をめぐる前提が実務レベルで動きました。結論から先に3つ挙げます。
- ChatGPTの広告が日本で始まりました。AI検索の中に「買える枠」が生まれ、これまでの「引用されるか否か」だけの世界ではなくなりました。
- Googleは「AI回答からサイトへ送る」方向に動いています。回答の中のリンクを増やし、見つけやすくする更新を公式に発表しました。
- Google自身が「AI検索のためにやらなくていいこと」を名指ししました。巷のGEO施策のいくつかは、公式に無意味と言われています。
以下、すべて一次情報(各社公式発表・公的統計)にあたって整理します。確認日はいずれも2026年9月21日です。そのうえで、自社ECを20年・9サイト運営し、AI検索からの流入を自分のGA4で計測している立場からの読み方を加えます。
1. ChatGPT広告が日本で提供開始(OpenAI公式)
OpenAIは「Testing ads in ChatGPT」を2026年2月に公開し、2026年8月11日付の更新で、英国・メキシコ・ブラジル・日本・韓国での提供開始を公表しました。対象はログイン済みの成人ユーザーのうちFreeおよびGoプランで、Plus・Pro・Business・Enterprise・Educationの各プランには広告は表示されません。
実務上、重要なのは次の3点です。
- 広告は回答に影響しないと明記されています。広告は「sponsored」と明示ラベルが付き、オーガニックな回答とは視覚的に分離して表示されます。
- 広告主は会話やチャット履歴にアクセスできません。広告主が受け取るのは表示回数・クリック数などの集計情報だけです。
- 18歳未満と判定されるアカウントには表示されず、健康・メンタルヘルス・政治といったセンシティブな話題の近くにも広告は出ません。
出典:OpenAI「Testing ads in ChatGPT」https://openai.com/index/testing-ads-in-chatgpt/(2026年8月11日更新/確認日 2026年9月21日)
当社の見方:広告枠ができても、引用される価値は落ちない
Google広告を自社で運用している立場から見ると、この設計は検索連動型広告の初期とよく似ています。当社の見立ては、「広告枠と回答本文が分離されている」ことが、むしろオーガニックな被引用の価値を守るというものです。回答本文に自社が出てくることと、その横に広告として並ぶことは、読者にとって意味がまったく違います。広告が始まったからAI検索対策は終わり、ではありません。むしろ「広告で買える場所」と「買えない場所」が分かれたことで、後者の価値は明確になりました。
2. Googleは回答内のリンクを増やす方向に動いた
Googleは2026年5月6日、AIモードとAI Overviewsについて5つの更新を公式ブログで発表しました。要点は、いずれもサイトへのリンクを増やす・見つけやすくする方向であることです。
- AI回答の末尾に、さらに深掘りできる記事へのリンクを提示する
- ユーザーが購読しているニュースのリンクを強調表示する(初期テストでは「購読中」とラベル付けされたリンクのクリック率が有意に高かったと記載)
- 公開されたオンライン上の議論やSNSなど、一次的な体験談のプレビューを、コミュニティ名や投稿者名の情報とともに表示する
- 回答文の該当する箇所のすぐ隣にリンクを置く(従来の末尾まとめ表示ではなく行内配置)
- デスクトップでリンクにカーソルを合わせると、サイト名やページタイトルのプレビューを表示する
出典:Google「5 new ways to explore the web with generative AI in Search」https://blog.google/products-and-platforms/products/search/explore-web-generative-ai-search/(2026年5月6日公開/確認日 2026年9月21日)
とくに4番目と5番目は、サイト側の打ち手に直結します。リンクが回答文の該当箇所の隣に置かれ、ホバーでサイト名とページタイトルが見えるということは、ページタイトルとサイト名が、クリックするかどうかの判断材料としてそのまま使われるということです。Google自身も「リンク先が不確かだとクリックをためらう人がいる」と説明しています。中身の前に、タイトルで判断されます。
3. Google公式が「やらなくていいこと」を名指しした
Google Search Centralは、生成AI機能向けの最適化ガイドを公開しています。ここで注目すべきは、推奨事項ではなく「無視してよい」と明記された項目です。
- llms.txt などのAI専用ファイル・特殊マークアップ:Google検索はこれらを使用しないと明記。作っても順位や表示に有利にも不利にもならない、とされています。
- コンテンツの「チャンク化」:AIが理解しやすいよう細切れにする必要はない。理想的なページ長というものはない、とされています。
- AI向けの書き直し:生成AI検索のために特別な書き方をする必要はない。同義語や意図は理解される、とされています。
- 不自然な「言及」集め:意図的にWeb上の言及を増やす行為は、見かけほど有効ではないと明記。
- 構造化データへの過度な注力:生成AI検索に構造化データは必須ではない。ただしリッチリザルトの対象になるため、SEO施策としては継続推奨。
一方で前提条件は明確です。生成AI機能に表示されるには、そのページがインデックスされ、スニペット付きで検索結果に表示できる状態であることが必要だと書かれています。つまり土台は従来のテクニカルSEOのままです。また、Search Consoleの「生成AIパフォーマンスレポート」で自社の表示状況を確認できること、Googleの内部指標にアクセスできると謳う第三者ツールには注意すべきことも明記されています。
出典:Google Search Central「Google’s Guide to Optimizing for Generative AI Features on Google Search」https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/ai-optimization-guide(確認日 2026年9月21日)
4. 数字で見る:ユーザーの検索行動はどう変わったか
AI検索は伸びたが、直近は足踏みしている
博報堂DY ONEの次世代検索研究所が公開した2026年7月分のデータによると、国内のAI検索シェアはChatGPTが約66%で前月比1.31pt減、Geminiが前月比4.59pt増でした。セッション数は2024年4月を起点とすると6,468%増という大きな伸びですが、前月比では1.6%の減少。同じ期間、従来型検索エンジン(Google・Bing・Yahoo! JAPAN)のセッション数のシェアは前月比4.3%増加しています。
AI Overviewsの表示率は、Knowクエリ(調べ物系)で最も高く前月比9.5%増、全体でも増加傾向。業種別の総計は前月比5.9%増で、アパレル・ファッションは前月比15.0%増と大きく伸びています。
出典:博報堂DY ONE「AI検索エンジンのトラフィック推移と動向(2026年7月)」https://oneder.hakuhodody-one.co.jp/blog/ai-search-engine-202607(2026年9月8日公開/確認日 2026年9月21日)。出典データはStatCounter・Similarwebおよび上位500キーワードの独自調査。StatCounterの数値はアクセス状況からの推定値である旨が同記事に注記されています。
使う人は増え、若年層では前提になっている
総務省「令和8年版 情報通信白書」によると、日本で生成AIサービスを「使っている(過去使ったことがある)」と回答した割合は15〜19歳で91.7%、20〜29歳で78.2%。利用頻度では「ほぼ毎日」使う人が日本全体で約3割、20代では約4割です(米国・ドイツ・中国はいずれも4割超で、日本が最も低い結果)。企業側では、何らかの業務で生成AIを利用していると回答した割合が日本で86.4%に達しています。
出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」年齢階層/利用頻度/生成AIの業務利用状況(確認日 2026年9月21日)
5. 今後の見通し(当社の見立て)
ここからは確定した事実ではなく、当社の見立てです。
当社の見立ては、AI検索は「置き換え」ではなく「併走」で定着するというものです。根拠は2つあります。ひとつは、直近1か月で従来型検索のセッションシェアが増え、AI検索が減っているという上記の実データ。もうひとつは、Googleが回答内のリンクを増やす方向に投資していることです。AI回答で完結させるのではなく、Webへ送り返す設計を公式に強化している以上、サイト側が受け皿を持つ意味はむしろ増します。ただしこれは1か月分のデータであり、傾向として断定はできません。
もうひとつの見立ては、今後1〜2年の勝負どころは「引用されること」より「引用された後に着地するページ」だという点です。当社は自社サイトへのAI検索経由の流入をGA4で継続計測していますが、実測してみると着地先はサービス紹介ページではなく、取引先向けページや採用ページに偏っていました。AIは商品を売り込むページではなく、会社の素性が分かるページを引く傾向があります。ここを知らずに「AI検索対策=サービスページの文章を直す」と考えると、労力が空振りします。
6. 明日からできる5つの確認
順序が重要です。上から順にどうぞ。
- Search Consoleの「生成AIパフォーマンスレポート」を開く。Googleが公式に案内している唯一の一次計測手段です。まずここに数字があるかを見ます。
- GA4で参照元に chatgpt.com / gemini.google.com / perplexity.ai / copilot.com を含む行を抽出し、「着地ページ」を見る。セッション数ではなく着地ページです。想定と違うページが並んでいたら、そこがAI検索からの入口です。
- その着地ページに、次の行動への導線があるか確認する。会社概要や採用ページが入口なら、そこから相談・問い合わせへ進める線を引きます。ページを作り直す前に、既にある入口を直すほうが速いです。
- 自社のサイトがインデックスされ、スニペット表示可能な状態か確認する。Google公式が生成AI機能表示の前提条件として明記している項目です。ここが崩れていると、上の何をやっても届きません。
- llms.txt・チャンク化・AI向け書き直しに予算を割いているなら、いったん止めて公式ガイドを読む。Googleが「使用しない」と明記した施策に費用を払う理由はありません。
他社の平均値ではなく、自社の数字で判断してください
当社は9サイト(本店4+モール5)を20年運営していますが、同じ会社の2店舗でも数字はまったく違います。応援うちわ専門店は平均客単価4,212円・リピート率7.6%、オリジナルグッズ本店は平均客単価8,110円・リピート率10.9%です(2026年7月時点の注文データ集計)。同じ運営者、同じ体制でこれだけ差が出ます。AI検索も同じで、「業界のAI流入は◯%」という平均値から自社の打ち手は決まりません。決まるのは、上の1と2で自社のレポートを開いたときだけです。
まとめ
2026年9月時点の要点は、①ChatGPTに広告枠ができたがオーガニックな回答とは分離されている、②Googleは回答内のリンクを増やす方向に動いている、③Google公式が不要な施策を名指しした、の3つです。やることは増えていません。むしろ「やらなくていいこと」が公式に減りました。
当社は、この分野を解説するだけでなく自分の売上で検証しています。2026年7月25日にPerplexityで「中小企業向けにGEO・LLMO(AI検索対策)を支援してくれる会社」と尋ねた際、当社が実名・筆頭で引用されることを実測で確認しました(AI検索の回答は非決定的なため、継続的に複数回の観測を行っています)。自社サイトで起きていることを自分で計測している会社として、御社のSearch ConsoleとGA4を一緒に見るところから始められます。
AI検索時代の受け皿づくりについては、SEO・GEO・LLMO対策のサービスページをご覧ください。まずは現状の計測状況の確認からご相談いただけます。
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