ホームページリニューアルの判断基準|売上-27%でもサイトを作り直さなかった理由

「売上が落ちてきたので、そろそろホームページを作り直したい」。ご相談の入口として、いちばん多い言葉です。
結論から申し上げます。リニューアルすべきなのは、落ちている原因がサイトにあると確認できたときだけです。原因を切り分けないまま作り直すと、数百万円かけて同じ数字に戻るだけになります。
当社はEC9サイト(本店4+モール5)を20年運営しています。その中で、前年比マイナス27%という明確な落ち込みを抱えながら、そのサイトを作り直さなかったカテゴリがあります。まずその話から書きます。
当社の実例:前年比-27%でも、サイトは作り直していない
自社EC2店舗で扱っているアクリルスタンド(アクスタ)の販売実績です。
- FY23(2023-04〜2024-03):18,967個
- FY24(2024-04〜2025-03):22,379個
- FY25(2025-04〜2026-03):16,441個(前年比 -27%)
年間1万6千個を超える主力カテゴリが、1年で3割近く落ちました。普通なら「サイトが古いのでは」「カートが使いにくいのでは」という話になります。
当社の見立ては、主因は競合の増加による価格競争です。アクスタは参入が相次いだカテゴリで、同じものを売る相手が増えれば、単価と数量の両方が同時に動きます。サイトの構造や導線が一夜にして悪くなったわけではありません。
これは確定値ではなく、あくまで当社の見立てです。ただし「サイト起因ではない」と判断したから、当社はこのサイトを作り直していません。打ち手は商品構成と価格帯の見直し側に置いています。
お伝えしたいのは、当社の売上の増減そのものではありません。売上が落ちたという事実だけでは、リニューアルの根拠にならないということです。
明日できる切り分け:3つの数字を順番に見る
売上は「流入 × CVR(成約率)× 客単価」に分解できます。落ちているのがどれかで、打ち手はまったく別物になります。
どこが落ちたかで、打ち手が変わる
| 落ちている数字 | 疑うべき場所 | リニューアルの要否 |
|---|---|---|
| 流入(セッション) | 検索順位、広告、AI検索での扱われ方 | 原則不要。集客側の問題 |
| CVR(成約率) | 導線、フォーム、商品ページ、表示速度 | 要検討。サイト起因の可能性が高い |
| 客単価 | 競合・価格・商品構成 | 原則不要。商品側の問題 |
先ほどのアクスタは、当社の見立てでは3段目に該当します。だから作り直していません。逆に、流入が横ばいなのにCVRだけが落ちているなら、それはサイトを疑う十分な理由になります。明日、GA4でこの3つを前年同月と並べるところから始めてください。
「業界平均」ではなく、自社の中で比べる
比較対象を業界平均に置くと、判断を誤ります。当社の自社EC2店舗の実数値です(2026-07時点・注文データ集計)。
- 応援うちわ専門店:平均客単価 4,212円 / リピート率 7.6%
- オリジナルグッズ本店:平均客単価 8,110円 / リピート率 10.9%
同じ会社が、同じ体制で、同じ20年のノウハウで運営していても、客単価は約2倍、リピート率は3.3ポイント違います。商材が違えば当たり前にこれだけ開きます。業界平均より低いからサイトが悪い、という推論は成り立ちません。
見るべきは、自社の中の差です。店舗別・商品別・流入元別に分解して、同じ社内で説明のつかない差が出ている箇所を探してください。そこが直すべき場所です。
「どのページに着地しているか」を見る
当社は自社サイトへのAI検索(ChatGPT等)経由の流入を毎月計測しています。その中で分かったことがあります。着地ページの上位に並んでいたのは、採用ページと仕入先向けページでした。サービスページではありません。
この状態で必要なのは、デザインを新しくすることではなく、実際に人が降りてきているページから、サービスへの導線を作ることです。当社自身の課題でもあり、いま優先して手を入れている箇所です。
リニューアルを検討する前に、流入上位ページを10件出してみてください。そこに売りたいページが入っていないなら、問題はサイト全体ではなく受け皿の設計です。
リニューアルすると決めた後、順番を間違えないための4つ
1. 掲載内容の棚卸しを最初にやる
デザインより先です。当社はポスターフレーム専門店の取扱種類数を「500種類以上」と長く掲載していましたが、実カタログを数え直したところアルミ202件+ウッド36件=238件でした。2026年9月5日に「200種類以上」へ修正し、全ページのフッターに反映しています。
実態より大きい数字の掲載は、景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあります。リニューアルは、この棚卸しを強制的にやれる数少ない機会です。実績・件数・対応範囲の表記を、根拠資料と突き合わせてください。
2. 計測設計を「作る前に」決める
公開してから計測を考えると、前後比較ができなくなります。当社はGA4/GTMの実装と、重複プロパティの監査・解消を実務として行っています。計測が二重になっているサイトは珍しくなく、その状態のまま作り直すと「効果があったのか分からない」という最悪の結果になります。旧サイトの数字を、比較できる形で先に確保してください。
3. 受注から制作までの業務フローも一緒に見る
サイトがきれいになっても、裏側の手作業が減らなければ利益は増えません。当社はデスクトップ型RPA(アシロボ)を自社EC運営に導入し、現在20業務が稼働、月61時間・年730時間を削減しています。うちわの簡単オーダーのデータ作成で月12.5時間、ユニフォームの依頼情報のエクセル化で月10.0時間といった内訳です。
注文フォームの項目設計ひとつで、後工程の自動化しやすさは変わります。リニューアルは、フォームと業務フローを同時に設計し直せる唯一のタイミングです。
4. 一度に全部を変えない
9サイトを20年運営してきて確信していることです。全ページを同時に差し替えると、数字が動いたときに何が効いたのか永久に分からなくなります。影響の大きいページから段階的に出し、都度計測してください。
よくある失敗パターン
- 売上減=サイトのせい、と決めつける:原因が競合や価格にある場合、作り直しても数字は戻りません
- 公開をゴールにする:当社も、RPAの運用実態が変わったのにサイトの掲載更新が追いつかず、精査して現在の数値に差し替えた経験があります。サイトは作るものではなく、実態に合わせて更新し続けるものです
- 見た目だけ新しくして、着地ページを変えない:人が降りてくるページが変わらなければ、行動も変わりません
ご相談ください
当社は自社の主力カテゴリが前年比-27%になっても、そのサイトを作り直していません。原因がサイトになければ「作らない」とお伝えするのが、20年ECを運営してきた会社としての誠実な答えだと考えています。
リニューアルすべきかどうかの切り分けから、計測設計、公開後の運用体制までをご相談いただけます。まずは現状の数字を一緒に分解するところから始めましょう。詳しくはホームページ制作・改善のご案内をご覧ください。
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