持続化補助金 第20回でホームページは作れる?ウェブサイト関連費30万円の壁と逆算スケジュール

持続化補助金 第20回でホームページは作れる?ウェブサイト関連費30万円の壁と逆算スケジュール

「持続化補助金でホームページを作れますか?」——愛知県内の小規模事業者の方から、当社がもっとも多くいただく質問のひとつです。

結論から書きます。作れます。ただし、ホームページ費用に対して出る補助金は最大30万円(税込)までで、しかもホームページ代だけでは申請そのものができません。この2つを知らずに「50万円もらってサイトを作り替えよう」と動くと、計画を組み直すことになります。

本記事は、小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募の公募要領(第8版・2026年7月21日付)の原文を2026年9月2日に確認して書いています。数字はすべて公募要領に記載された値です。

目次

まず押さえる:第20回公募の基本情報

公募要領(第8版)P.3・P.7に記載されている内容です。

項目 内容
補助上限 50万円
補助率 2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
インボイス特例 50万円上乗せ
賃金引上げ特例 150万円上乗せ
両特例の要件をともに満たす場合 200万円上乗せ(=最大250万円)
申請受付開始 2026年11月5日(木)
申請受付締切 2026年12月15日(火)17:00
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切 2026年12月4日(金)
採択発表予定 公募要領に記載がありません(第20回については未公表)
見積書等の提出期限 2028年2月29日(火)
補助事業実施期限 2028年3月31日(金)
申請方法 電子申請システムのみ(郵送は一切受付なし)。GビズIDプライムのアカウントが必要

そもそも「小規模事業者」に当てはまるか

常時使用する従業員の数で判定されます(公募要領P.4)。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)… 5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業 … 20人以下
  • 製造業その他 … 20人以下

「常時使用する従業員」には、会社役員・同居の親族従業員・日雇労働者・試用期間中の者は含まれません。愛知県は製造業の集積地なので、従業員20人以下の加工業・部品メーカーはかなりの数が対象に入ります。一方、飲食店や小売店は「5人以下」の線引きになるため、パート従業員の数え方で外れるケースがあります。ここは最初に確認してください。

本題:ホームページ費用はどこまで補助されるのか

ウェブサイト関連費は「補助金交付申請額の上限30万円(税込)」

公募要領P.14の「③ウェブサイト関連費」に、こう書かれています。

ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。必ず、ほかの経費と一緒に申請してください。
当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。

ポイントは「経費の上限」ではなく「補助金交付申請額の上限」が30万円だという点です。補助率は2/3ですから、ウェブサイト関連費として計上できる経費はおおむね45万円分まで、そのうち30万円が補助される、という構造になります。補助上限を250万円まで引き上げる特例を使っても、ウェブサイト部分の30万円という枠は動きません

ウェブサイト代「だけ」では申請できない

これが実務上いちばん効いてくる制約です。持続化補助金は「経営計画に基づく販路開拓」を支援する制度であり、サイト制作はその手段のひとつとしてしか位置づけられていません。機械装置等費、広報費、展示会等出展費、新商品開発費、借料、委託・外注費といったほかの経費と組み合わせた計画が必要です。

なお「②広報費」(チラシ・ポスター・インターネット広告・SNS広告等)も、同じく補助金交付申請額の上限は30万円(税込)で、単独申請は不可です(公募要領P.13)。「サイト30万円+広告30万円」で押し切ることもできない、と考えておくのが安全です。

対象になるもの・ならないもの

公募要領P.14〜15の記載から、判断を誤りやすいものを抜き出します。

対象となる経費例

  • 商品販売のためのウェブサイト作成や更新
  • 効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策
  • 顧客管理システムの構築、アプリケーション開発、オフライン含むシステム開発
  • 業務効率化のためのソフトウェア
  • サイトに掲載する商品・サービスを販売するための画像や動画の作成費用

対象とならない経費例

  • ウェブサイトおよびシステムに関連するコンサルティング、アドバイス費用
  • 補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ
  • 既に導入しているソフトウェアの更新料
  • 販売を目的としたシステムやソフトウェアの開発
  • 家庭および一般事務用ソフトウェア

1つ目は要注意です。制作費は対象でも、「サイトをどう作るか」の助言料は対象外と明記されています。2つ目も見落とされがちで、期間内に公開・運用まで到達しなかったサイトは丸ごと対象外になります。「採択されてから考える」ではなく、実施期限(2028年3月31日)までに確実に公開できる規模で組む必要があります。

また、ウェブサイトやシステムを50万円(税抜)以上の費用で作成・更新する場合は「処分制限財産」に該当し、補助金の支払いを受けた後も一定期間(通常は取得日から5年間)、譲渡や廃棄が制限されます(同P.14)。作り直しの予定がある場合は、この点も設計に含めてください。

愛知の小規模事業者が「秋のうちに動くべき」理由:様式4の壁

申請締切は12月15日ですが、実務上の本当の締切はその11日前です。

持続化補助金は、地域の商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」がなければ申請できません。その発行受付締切が2026年12月4日(金)。公募要領P.3には、黄色のマーカー付きでこう書かれています。

事業支援計画書(様式4)について、受付締切以降の発行依頼は、いかなる理由があってもできません。また、補助対象者の要件を満たしていないと判断される場合も発行はできません。

「いかなる理由があっても」という表現が使われている以上、ここは交渉の余地がありません。しかも様式4は、事業計画(様式2・3)ができていない状態では依頼できません。逆算するとこうなります。

  • 9月〜10月:販路開拓の方向性を決め、経営計画・補助事業計画の骨子を作る。GビズIDプライムを未取得なら並行して申請する(取得には時間がかかります)
  • 11月上旬:計画を書き上げ、管轄の商工会・商工会議所へ様式4の発行を依頼
  • 11月中〜下旬:様式4の交付を受ける
  • 12月4日(金):様式4 発行受付締切(=実質のデッドライン)
  • 12月15日(火)17:00:電子申請システムで申請完了

年末は商工会・商工会議所の窓口も混み合います。12月に入ってから相談に行くのは、現実的にはかなり厳しい。「11月受付開始」ではなく「9月着手」で考えてください。

なお愛知県内でも、事業所の所在地によって商工会地区商工会議所地区かが分かれ、問い合わせ先も補助金事務局も異なります。どちらに該当するかは公募要領に案内されている検索サイト(商工会検索商工会議所検索)で確認できます。個別の商工会・商工会議所が独自にもっと早い受付期限を設けている可能性もありますので、実際の窓口の締切は必ずご自身の管轄に直接ご確認ください。

支援業者を使うなら、必ず知っておくべき記載義務

これは当社のような支援側にとって都合の悪い話ですが、書いておきます。公募要領P.1の注意事項です。

第三者の支援(支援料金の支払いの有無に関わらず)を受けているにも関わらず、確認事項入力(様式2)「商工会・商工会議所を除く第三者からの指導・助言の有無」の項目でその相手方および支援に係る金額(着手金、成功報酬その他名目のいかんを問わず)の記載がない場合には、虚偽の報告として不採択・交付決定取消となります。

加えて、同ページには「提供するサービスの内容と乖離した『高額なアドバイス料金』を請求される業者等にご注意ください」という一文もあります。支援料は隠すものではなく、申請書に書くものです。金額を伏せることを提案してくる相手には依頼しないでください。

30万円で何をすべきか:19年ECを運営してきた立場から

当社はEC・WEB運営19年超、自社ECを9サイト(本店4+モール5)運営しています。その実務経験から、この30万円の使い方について正直なところを書きます。

30万円は「サイトを一式作り替える」予算ではありません。「売れる導線を1本作る」予算です。

自社の注文データ(2026年7月時点の集計)では、応援うちわ専門店の平均客単価は4,212円・リピート率7.6%、オリジナルグッズ本店の平均客単価は8,110円・リピート率10.9%と、同じ会社が運営していても数字はまったく違います。サイトは公開してからが本番で、数字を見ながら直し続けたものだけが売上につながる、というのが19年の実感です。

もうひとつ、自社サイトで実測しているデータを共有します。2026年7月3日〜8月1日の1か月間、ChatGPT等のAI検索経由で当社コーポレートサイトに58セッションの流入がありましたが、この期間のコンバージョンは0件でした。流入があってもCVしないことは普通に起こります。だからこそ、限られた30万円は「見た目を整える」より「問い合わせや注文まで到達する1本の導線」に寄せるべきだと考えています。

また持続化補助金は、販路開拓と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組も支援対象としています(公募要領P.6)。当社はRPAで自社EC運営の20業務を自動化し、月61時間・年730時間を削減しました(自社RPA管理表・2026年7月集計)。「サイトを作って注文が増えても、処理が回らない」は小規模事業者で実際に起きることなので、販路開拓と効率化をセットで計画に書くのは理にかなっています。

いまの時点で「まだ言えない」こと

採択発表の時期:第20回の採択発表時期は、公募要領に記載がありません。(公募要領には第18回受付締切分が2027年3月、第19回受付締切分が2027年7月という記載がありますが、いずれも第20回のものではありません)

誠実に書いておきます。

  • 採択率:第20回について公表されていません。「採択率◯%」を語る根拠を当社は持っていません。
  • 第21回以降の日程:公募要領には「第20回公募申請受付締切以降に追ってご案内します」とあるのみで、未定です。「次があるから今回は見送る」という判断はおすすめしません。
  • 個別の商工会・商工会議所の運用:様式4の受付を独自に前倒ししている可能性がありますが、本記事では確認できていません。

よくある質問

Q. ホームページの制作費だけで申請できますか?

A. できません。公募要領に「ウェブサイト関連費のみによる申請はできません」と明記されています。必ずほかの経費と組み合わせた計画が必要です。

Q. サイト制作の相談料・コンサル料は補助されますか?

A. されません。「ウェブサイトおよびシステムに関連するコンサルティング、アドバイス費用」は対象外の経費例として明記されています。

Q. SEO対策は対象になりますか?

A. 「効果や作業内容が明確なウェブサイトのSEO対策」は対象となる経費例に挙げられています。作業内容と効果を説明できる形で見積・計画を作ることが前提です。

Q. いま申請の準備を始めれば間に合いますか?

A. 2026年9月時点であれば十分に間に合います。ただし様式4の発行受付締切が12月4日(金)で、それ以降の発行依頼は理由を問わず受け付けられません。10月中に計画の骨子を固めておくのが現実的なラインです。

Q. 補助金は先にもらえますか?

A. いいえ。公募要領の注意事項に「補助事業遂行の際には自己負担が必要となり、補助金は後払いです」とあります。いったん全額を支払える資金計画が必要です。

計画づくりからご相談ください

持続化補助金は、書類を埋める作業ではなく「自社の販路開拓をどう設計するか」を問う制度です。ウェブサイト関連費の30万円という枠も、計画全体の中に置いてはじめて意味を持ちます。

FUN-CREATE株式会社は愛知県西尾市に本社を置き、中小企業診断士6名体制で経営計画・事業計画の作成を支援しています。自社でEC9サイトを19年運営してきた実務側の視点から、「その30万円で本当に売上が増えるか」まで踏み込んでお話しします。

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出典・確認日(すべて2026年9月2日に確認)

※ 公募要領は改訂される場合があります。申請前には必ず最新版の公募要領をご自身でご確認ください。本記事は制度の解説であり、採択を保証するものではありません。

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十文字 眞輝監修・執筆
代表取締役 CEOFUN-CREATE株式会社
🎓 中小企業診断士 | EC・WEB運営19年超
2006年創業。自社EC 9サイト(本店4+モール5)を19年運営してきた実運用をベースに、中小企業向けのWEB集客・DX戦略を設計。愛知県西尾市・三河地区の中小企業を中心に支援。
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