公式グッズコラボの企画前に決める3つの数字|自社EC19年の販売実データから

結論:最初に決めるのは「誰が在庫を持つか」と「何個売れる前提か」
公式グッズのコラボ企画は、たいていアイテム選びから始まります。Tシャツか、缶バッジか、アクリルスタンドか。しかし、その手前で決めておくべきことが2つあります。
- 在庫を誰が持つか(座組み)
- 何個売れる前提で企画するか(数量)
この2つが決まっていないと、どのアイテムを選んでも良し悪しを判断できません。逆に、この2つが決まっていれば、アイテムは後から差し替えが利きます。
本記事は、自社EC 9サイト(本店4+モール5)を19年運営してきた当社の販売実データと、2026年に公表した2件の公式コラボの座組みをもとに、企画前に押さえておく数字を整理したものです。
1. 座組み:公式素材を預かる「受注生産型」なら、権利元に在庫は残らない
グッズ化の座組みは、大まかに「権利元が自ら製造・在庫する」「製造元が権利を借りて買い取り生産する」「公式素材を預かり、受注生産で作る」の3つに分かれます。このうち権利元の負担が最も軽いのが3つめです。当社が2026年に公表した2件は、いずれもこの形です。
実例1:ゴキゲンズ × ファンクリ(2026年5月5日リリース)
公式ロゴ・イラスト・フォト素材を当社のデザインシミュレーター「Web deco」に搭載し、ファンがブラウザ上で自由に組み合わせてグッズを作れる形です。取扱いはTシャツ・バッグ・タオル・缶バッジ・ステッカー・ブランケット・ファンうちわ・クッション・キーホルダー・ブロックメモの全10アイテム、いずれも1点から。アプリのインストールも会員登録も不要です(出典:当社プレスリリース 2026年5月4日/2026年9月17日確認)。
実例2:LOVOT × ファンクリ(2026年8月8日開始)
GROOVE X株式会社の家族型ロボット「LOVOT」との公式コラボです。Web decoへの公式スタンプ導入に加え、写真を1枚送るだけで作れる「等身大アクリルスタンド」「等身大ダイカットクッション」をラインナップしました。等身大アクリルスタンドは当社が2026年3月から提供している最大240cm対応のサービスを転用したものです(出典:当社プレスリリース 2026年8月8日/2026年9月17日確認)。
2件に共通するのは、権利元は公式素材を預けるだけで、企画・製造・受注・発送・カスタマーサポートは当社が引き受けるという点です。受注生産のため売れ残りが発生せず、権利元側に在庫リスクも運用工数も残りません。「まず小さく試したい」という段階では、この座組みが最も失敗コストが低くなります。
2. 数量:他社の成功事例ではなく、カテゴリの実数で前提を置く
「何個売れますか」は最も多い質問ですが、答えの前に、判断の物差しとして当社の実数をお見せします。自社EC2店舗(グッズ本店・うちわ本店/モール分は含まず)でのアクリルスタンドの販売個数です。
| 年度 | 販売個数 | 前年比 |
|---|---|---|
| FY23(2023年4月〜2024年3月) | 18,967個 | — |
| FY24(2024年4月〜2025年3月) | 22,379個 | +18% |
| FY25(2025年4月〜2026年3月) | 16,441個 | -27% |
平均単価は概算で1個あたり2,600円前後です。ここから読み取れることは3つあります。
- アクリルスタンドというカテゴリは、専門店2店舗で年間1万6千個以上動く規模が3年続いている
- ただしこれは多数の品目・多数のIPを含むカテゴリ全体の数字であり、単一IP・単一デザインの数字ではない
- それでも右肩上がりではない
企画時の使い方はシンプルです。「初回にいくつ作るか」を、カテゴリの年間実売規模の何%として置いているかを言語化してください。根拠のない1万個も、根拠のない100個も、同じくらい危険です。なお受注生産型を選べば、この前提が外れても在庫損は出ません。前提を外す覚悟がある段階では、在庫を持たない座組みを選ぶ——これが実務上の結論です。
3. 数量が落ちた年を、どう読むか
FY25の-27%は、当社にとって都合の良い数字ではありません。ただ、企画を検討される方にとっては、伸びた年より参考になるはずです。
当社の見立てでは、この落ち込みの主因は競合の増加による価格競争です。参入が相次いだカテゴリでは、同じものを売る相手が増え、単価と数量の両方が動きます。少なくとも、サイトの作りやIPの人気低下では説明がつかないと考えています(見立てであり、確定した分析ではありません)。
この読み方は、そのままご自身の判断に使えます。グッズの売れ行きが落ちたとき、確認する順序は「単価」→「数量」です。
- 単価と数量が同時に落ちている … 市場側の要因(競合増・価格競争)を疑う。作り直すべきは価格戦略と品目構成
- 数量だけが落ちている … 露出・導線の要因を疑う。ここで初めてサイトや広告の話になる
「売上が落ちた=サイトを作り直す」と短絡すると、費用をかけて原因の外側を直すことになります。
4. 1品目に賭けない
当社の自社ECでFY25に実際に販売実績があった品目は、グッズ本店で350品目超、うちわ本店で190品目超です(仕様違いを除いた名称ベースの概算)。専門店であっても、売上は1つの主力ではなく品目の束で作られています。
コラボ企画でも考え方は同じです。ゴキゲンズの事例が10アイテムで立ち上がっているのは、ファンが選ぶ価格帯と用途を最初から広げておくためです。1,000円前後の缶バッジやステッカーと、数千円のクッションやTシャツでは、買う人も買う理由も違います。
※上記の品目数は当社ECの販売実績であり、コラボで選べるアイテム数を示すものではありません。
5. 値付けは「1点単価」ではなく「1注文単価」で設計する
当社が同じ時期に運営している2店舗の実績です。
| 店舗 | 平均客単価 | リピート率 |
|---|---|---|
| うちわ専門店 | 4,212円 | 7.6% |
| オリジナルグッズ店 | 8,110円 | 10.9% |
同じ会社が、同じ時期に、同じ仕組みで運営していても、客単価はおよそ2倍違います。「グッズECの平均客単価」という業界平均を企画書に持ち込んでも、自社の判断には使えないということです。見るべきは、扱う品目と客層に近い実数です。
もう1つ、リピート率が1割前後という点が重要です。売上の大半は新規のお客様から立ちます。だからコラボグッズは、リピート前提の長期設計より、発売初動の露出(公式SNS・イベント・リリース)に資源を寄せたほうが噛み合います。
明日できること:企画書に入れる5つの数字
- 在庫を誰が持つかを1行で書く(買取/ライセンス/受注生産)
- 初回想定数量と、その根拠を書く(カテゴリ年間実売の何%か)
- 品目数と価格帯の幅を書く(最低価格帯と最高価格帯の両端を置く)
- 1注文単価の目標を書く(1点単価ではない)
- 発売後に見る指標を「単価」と「数量」に分けて書く
この5つが埋まらないうちは、アイテムの選定に入らないほうが結果的に早く進みます。
よくある質問
権利元に在庫を持つ負担は発生しますか?
受注生産型の座組みであれば発生しません。当社が2026年に公表した2件は、いずれも公式素材をお預かりし、製造・受注・発送・カスタマーサポートまでを当社が担う形です。全アイテム1点から制作しています。
小さく始めて反応を見ることはできますか?
できます。最低ロットを設けない受注生産であれば、初回の数量前提が外れても在庫損は出ません。まず品目と価格帯の幅を広げて反応を見て、売れた側に寄せるのが現実的な進め方です。
グッズの売れ行きが落ちたら、まず何を確認すべきですか?
単価と数量を分けて見てください。両方が落ちていれば市場側(競合増・価格競争)、数量だけが落ちていれば露出・導線を疑います。当社自身、FY25のアクリルスタンドの落ち込みは前者だと見ています。
公式グッズコラボのご相談
当社は2006年創業、自社EC 9サイト(本店4+モール5)を19年運営しています。他社の成功事例の伝聞ではなく、伸びた年も落ちた年も含めた自社の販売実数を持ったうえで、数量の前提づくりからご一緒できます。法人・IPホルダー向けのグッズ制作は「SWAG by ファンクリ」で承っています。ご相談は無料です。
【データの範囲】販売個数・客単価・リピート率は当社自社EC(グッズ本店・うちわ本店)の注文データ集計であり、モール分は含みません。アクリルスタンドの数値はカテゴリ全体の合計で、特定のコラボ商品の実績ではありません。品目数は仕様違いを除いた名称ベースの概算です。FY25の減少要因に関する記述は当社の見立てであり、確定した分析ではありません。コラボ2件の内容は当社公表のプレスリリース(2026年5月4日/2026年8月8日)に基づき、2026年9月17日に確認しています。
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