産廃許可の経営診断書は決算書のどこで決まるか|愛知県の審査基準を数字で読む

結論:愛知県では「自己資本比率」と「経常利益金額等」の組み合わせで、診断書の要否がほぼ決まる
産業廃棄物処理業(収集運搬業・処分業)の許可申請で問われる「経理的基礎」。経営診断書が必要になるかどうかは、担当者の裁量で決まると思われがちですが、少なくとも愛知県については公開された審査基準の表に当てはめれば、おおよその見当がつきます。
愛知県の基準で見るべき数字は、主に次の3つです(法人の場合)。
- 直前事業年度の自己資本比率=純資産合計 ÷ 負債・純資産合計(総資産)× 100
- 直前3年の各事業年度における「経常利益金額等」の平均額
- 直前事業年度の「経常利益金額等」
ここで重要なのが「経常利益金額等」という独自の用語です。愛知県の基準では、これは損益計算書上の経常利益に、同じ損益計算書上の減価償却費を足し戻した額と定義されています(出典:愛知県「経理的基礎に関する審査の考え方」PDF・2026年9月15日確認)。つまり単純な経常赤字=即アウトではありません。設備投資が重く減価償却費が大きい会社ほど、足し戻しでプラスに転じる可能性があります。まず自社の決算書で計算し直してください。
愛知県の審査基準:どの数字の組み合わせで診断書が要るのか
営業実績が3年以上ある法人の場合
愛知県が公開している「経理的基礎に関する審査の考え方」には、自己資本比率(10%以上/0%以上10%未満/0%未満)×経常利益金額等の平均(プラス・マイナス)×直前期の経常利益金額等(プラス・マイナス)の組み合わせごとに、「原則基礎認定」「診断書」「必要時診断書」「不許可」のいずれになるかが一覧化されています。
大まかな傾向は次のとおりです。
- 自己資本比率10%以上で、平均または直前期のどちらかがプラスなら、原則として基礎認定(=診断書なし)
- 自己資本比率0%以上10%未満になると、収集運搬業(積替保管なし)は比較的緩い一方、積替保管あり・処分業では診断書を求められる組み合わせが増える
- 債務超過(自己資本比率0%未満)になると、積替保管あり・処分業はほぼ診断書。収集運搬業(積替保管なし)でも「必要時診断書」に該当する場合がある
「必要時診断書」とは、上記に加えて一定の悪化指標に該当したときだけ診断書が要る、という中間的な扱いです。愛知県の別紙では、たとえば直前事業年度の自己資本比率がマイナス30%未満、直前事業年度の流動比率(流動資産÷流動負債×100)が50%未満、経常利益金額等の伸率が一定を超える悪化を示す場合、などが挙げられています。
「同じ赤字」でも、積替保管の有無で扱いが変わる
見落とされがちですが、愛知県では収集運搬業(積替保管を除く)/収集運搬業(積替保管を含む)/処分業で基準が分かれています。たとえば自己資本比率が0%以上10%未満で、直前3年平均がプラス・直前期がマイナスというケースでは、収集運搬業(積替保管なし)は原則基礎認定でも、積替保管あり・処分業では診断書が必要という整理になっています。「知り合いの収集運搬業者は要らなかった」は、処分業の判断材料になりません。
営業実績が3年に満たない場合は、原則として診断書が必要
愛知県の審査基準では、営業実績が3年未満の法人・個人は、今後5年間の収支計画に基づく中小企業診断士または公認会計士の経営診断書を添付し、5年以内に健全な経営の軌道に乗ることを証明することとされています。新設法人・独立直後の個人事業主が産廃許可を目指す場合、財務が健全かどうかにかかわらず診断書の準備が前提になる、という点は早めに織り込んでおくべきです。
更新申請だけに適用される「コロナ特例」がある
愛知県は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、更新許可申請に限った特例を設けています。従来の基準では不許可となる状態(法人なら、直前3年平均・直前期の経常利益金額等がともにマイナスで、かつ直前期が債務超過)であっても、今後5年間の収支計画に基づく経営診断書を添付し、経営悪化がコロナの直接的・間接的な影響によることと5年以内に健全な経営の軌道に乗ることを証明できれば、経理的基礎ありと判断され得るという内容です。
ただし、この特例は新規許可申請・変更許可申請には適用されません。また愛知県は「当面の間」としており、期限が明示されていません(同ページは2024年3月15日更新。2026年9月15日時点で掲載を確認)。いつ終了するかは現時点では言えません。更新期限が近い事業者は、必ず申請前に所管窓口へ最新の取扱いを確認してください。
大前提:この基準は「愛知県の」基準です
経理的基礎の判断基準は、許可権者ごとに異なります。たとえば宮城県は、追加資料を求める基準として自己資本比率と経常利益の組み合わせ表を公開していますが、判定に用いるのは「経常利益」であり、愛知県のように減価償却費を足し戻した「経常利益金額等」ではありません(宮城県公式サイト・2026年9月15日確認)。同じ決算書でも、県が変われば結論が変わり得るということです。
愛知県内でも窓口は一つではありません。名古屋市・豊橋市・岡崎市・一宮市・豊田市は政令市として独自の窓口を持ち、それ以外の市町村は県の機関が所管します。たとえば西尾市・碧南市・刈谷市・安城市・知立市・高浜市・幸田町は、西三河県民事務所 廃棄物対策課(岡崎市明大寺本町)が所管です(愛知県「産業廃棄物に関する届出先及び問い合わせ先」PDF・2026年9月15日確認)。複数県で事業を行う場合、県ごとに判定が分かれる可能性を前提に準備したほうが安全です。
診断書を出せば許可が下りる、わけではない
ここは誤解が非常に多いところです。愛知県の資料には、「診断書の内容だけで経理的基礎の有無を判断するものではない」、さらに「不許可となった場合でも、申請手数料や診断書は申請者の負担である」と明記されています。
経営診断書は、あくまで「5年以内に健全な経営の軌道に乗る」ことを収支計画で疎明するための資料です。許可の可否を決めるのは申請先自治体の審査であり、当社を含め誰も許可を保証できません。逆に言えば、なぜ悪化したのか、何をいつまでにどう改善するのか——その計画の根拠が疎明力を左右します。
FUN-CREATEの経営診断書作成について
当社は中小企業診断士が経営診断書を作成しています(自社資料でも中小企業診断士6名体制を公表)。現時点で申し上げられる実績・条件は次のとおりです。
- これまでに再提出となった案件はありません
- 必要書類がそろっている場合、最短翌営業日での納品実績があります
- 成功報酬・全額後払い。不許可の場合は料金が発生しません
- 許可取得まで何度でも再作成します(追加費用なし)
なお当社の担当範囲は経営診断書の作成であり、許可そのものを保証するものではありません。作成件数は母数が小さく、比率で示すと誤解を招くため公表していません。詳細は経営診断書作成サービスをご覧ください。
よくあるご質問
Q. 赤字決算だと必ず経営診断書が必要ですか?
いいえ、必ずではありません。愛知県の基準では、経常利益に減価償却費を足し戻した「経常利益金額等」と自己資本比率の組み合わせで判定されます。減価償却費が大きい事業者は、足し戻すとプラスになることがあります。ただし判定は自治体ごとに異なるため、所管窓口での確認が前提です。
Q. 収集運搬業と処分業で基準は同じですか?
愛知県では異なります。収集運搬業(積替保管を除く)/収集運搬業(積替保管を含む)/処分業でそれぞれ審査基準が公開されており、同じ財務状況でも診断書の要否が変わり得ます。
Q. コロナ特例は今も使えますか?
2026年9月15日時点で掲載を確認していますが「当面の間」とされ、終了時期は示されていません。更新申請の直前に所管窓口へご確認ください。
Q. 設立1年目でも産廃許可は取れますか?
愛知県の基準では、営業実績3年未満の場合は収支計画に基づく経営診断書の添付が求められます。準備期間を見込んだスケジュールを組んでください。
まとめ
診断書の要否は、まず自社の決算書で「経常利益金額等」と自己資本比率・流動比率を計算し、愛知県の審査基準表に当てはめることで見当がつきます。そのうえで積替保管の有無、新規か更新か、どの自治体に申請するかで結論は変わります。迷う場合は決算書3期分をお手元にご相談ください。
※本記事の制度に関する記述は、愛知県および宮城県の公開資料を2026年9月15日に確認した内容に基づきます。基準は改正され得るため、申請時点の最新情報を所管窓口でご確認ください。
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